取りこぼし

小学生の頃、「お風呂に入るのが面倒くさいが、入らないのは不潔だから毎日入らなきゃいけない」という葛藤に苛まれていた。お風呂でやることが多すぎると感じて、疲れていた。

何か手順を減らしたいと思った小学生の私は、シャンプーの後のコンディショナーをやめた。シャンプーは泡が出るから髪の毛を洗うのに必要だろうけれど、コンディショナーはどうも髪の毛を清潔にするためのものではない気がする。だからコンディショナーは省いてもよい、と考えた。

数日後の夜、何かに気づいたらしい母が

「ちゃんとリンスしてる?」

と訊いてきたので、やめたよ、と答えた。

すると母は血相を変えて私を洗面所に引っ張り込んで座らせ、棚からヘアケア用品を出して私の頭に吹き付け、すごい勢いでブローを始めた。

そのとき母に何を言われたかは覚えていないが(たぶん「リンスはやらなきゃだめだよ」とか「髪の毛パサパサになっちゃうよ」とかそんな感じ)、私は「よくわかんないけどコンディショナー(なのかリンスなのかよくわからない)は毎日やろう」と思った。

こういう感じで、やったほうがいいけれどやめてしまったこと、やらないほうがいいのにやっていることなどが私の中にはかなり眠っているような気がして、もやもやしている。確かに必要ないけど結局必要なこととか、みんなやってるけど敢えて言うほどでもないから言わないことをリストアップした本、ないだろうか。絶対取りこぼしがあるのに自分じゃ気づかないから教科書が欲しい。