睡眠中の私

私は寝相があまり良くないらしい。

朝起きたら毛布が全部床に落ちていた、湯たんぽが床に転がっていた、というのは十日に一回ぐらいある。

昔は私自身がよく転がっていたようで、朝起きた時に母から「ゆうべ、すごい音がしたんだけど、あなたまた落ちたんでしょ」と笑われることが何度かあった。私には転がったという記憶はなかった。私以外の何が落ちたんだろうと毎回考えてはみたものの、私が落ちたのでも何が落ちたのでも特に問題はないから、深追いしないことにしていた。

もともと、右肩を下にして眠る人間だった。それを、確か中高生ぐらいのときにふと「棺桶に入るポーズで寝てみよう」と考えて、仰向けで眠るようになった。

仰向けになって胸の上で指を組んで目を閉じてみると、安らかな気持ちになった。安らかなポーズというのがあるのかもしれない。指を組めば、眠りながら祈っているようで、毛布とベッドの間がとても神聖な空間のように思われた。そのうち、足首を上下に重ねて組むスタイルにも挑戦した。あまり居心地がよくなかったのでやめた。

同じ仰向けなら大の字にもなってみたい、ということで大の字になって寝ようとしたら、大の字になっている事実にテンションが上がってしまって眠れなくなった。瞼の裏で、漫画みたいに「バーン」とか「ドンッ!」みたいな字がずっと躍り続けるのだ。眠るどころの騒ぎじゃない。寝相がどうこう以前の問題だった。

あの頃の名残で、今でも眠る時は基本的に仰向けである。指を組むのはやめた。面倒だから。

さて、指を組むのをやめた睡眠中の私は、最近枕元からものを落とすのにハマっているらしい。

今朝は目が覚めたら眼鏡が消えていた。

朝はどうせご飯を食べて顔を洗ってコンタクトを入れてしまうので特に不自由はないのだが、帰ってきてからが案外困る。視力が低いのは一種のハンデであることに今更思い至る。

寝る前までは枕元にあったはずなので、ベッドの周辺を探してみたら、普通に落ちてた。畳まれた状態でぽろっと着地したらしい。カエルみたいでかわいいなと思った。