マッチ擦って居酒屋

今日は台風の前兆みたいな日だった。いや、もはやあれは前兆どころか竜巻だったな、うーん……。

みんな人間って本当なのかな。人間っていろんなのがいるんだな。私が人間に見えるのも仕方がないな。などと、思わず考え込んでしまうようなところに遭遇した(「見た」という感じではないんだけど)。

「人間らしさ」ってこんな側面もあるんだ、と学習しながら生活している。この世が銀河に見えるか地獄に見えるかの瀬戸際である。

こうなったら、おいしい和食の居酒屋にでも行きたい気分だ。冬、雪の舞う中、平気な顔して集まってお店に入って、コートをハンガーにかけてとりあえずビール。乾杯して、お通しをつまみながら、野菜が食べたい、肉が食べたい、鍋が食べたいって適当に言い合って適当なメニューを決める。やがて鼻に直撃する湯気、油の浮いた澄んだ出汁、つみれ、ネギ、はあ……。

マッチ売りの少女みたいになってしまった。マッチの火の中に美しい夢を見ながら事切れるのは幸福の一つの形だと思う。少なくとも彼女の頭の中には夢のように美しい世界があったのだ。おいしい和食の居酒屋に行きたい、というのは美しいだろうか。マッチ一本擦ってビール、マッチ一本擦っておひたし、マッチ一本擦って串の盛り合わせ、マッチ一本擦って刺身、マッチ一本擦って日本酒。まあまあかな。

 

自分のこと、中身が空っぽの人間だと思っている。どこを切って開いても空洞。

空っぽには空っぽなりのやり方や楽しみがある。最近気づいた。割と気に入っている。