カエルの禍根

今年、カエルを全然見かけなかったことに気づいて凹んでいる。鳴き声自体はかなり聞こえていたのに、肝心のカエル本体を見ていない。いつもなら夏の夜、玄関に集まる虫を食べに来たり、庭に何匹か迷い込んだりしていたのに。私の生活がカエルとズレてしまったんだなあと悲しくなる。

私は虫は死ぬほど嫌いだし怖いと思うけれど、カエルは全然怖くないから好きだ。アマガエルは普通に可愛いと思う。もちろん素手で触ることができる。殺そうとも思わない。

小学生の頃、学校帰りに田んぼのあぜ道に入ってカエルを大量に捕まえて持ち帰った。誇らしげに母に差し出したら、めちゃくちゃ怒られた。「なんで? こんなに可愛いのに」と当時の私は思ったけれど、カエルが苦手な人にカエルを何匹も生きたまま差し出したら、そりゃあ怒るだろう。私だって虫を大量に差し出されたら発狂すると思う。ちゃんと怒っただけ母はすごい。

ちなみに、そのカエル事件のことは今でもたまに蒸し返される。他にもいろんなことを度々蒸し返される。家族だろうが友人だろうが、ある程度付き合いの長い人は本当になんでもかんでも蒸し返してくるので、その度に私は過去の自分を呪う(あるいは面白いことをしたな、と嬉しくなる)。

何かを蒸し返された時、なんで私のことをそんなに覚えてるんだろう、と疑問に思うのだが、答えは簡単で、なんとなく思い出しちゃうだけだ。私だって覚えようと思っていて覚えていることなんてほとんどない。だから他人の過去のことをふと思い出してしまうこともある。思い出そうと思って思い出してなんかいない。そもそも私は、積極的に何も思い出したくない。他人のことも自分のことも思い出したくない。というか、人のことを何も覚えたくない。嫌なことほどよく覚えているからである。

嫌なことほどよく覚えている、というのは普通のことなのかもしれない。だから母も未だにカエル事件のことを蒸し返すのだろう。禍根を残さずに生きられる人なんて存在するんだろうか。私にはもうできない。

 

 

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毎日ちまちま書いている文をまとめて本にしました。A5版、本文64ページで一冊500円です。詳細は以下からご覧ください。

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もう何冊かはどなたかのお手元に届いているのでしょうか。不思議な気持ちです。皆様には是非、好きなページだけ残して他は切り取ったり、墨で黒塗りしたり、枕の下に敷いて悪趣味な夢のお供にしたり、いろんな使い方をしていただければ幸いです。