読めない

長い長い会話かのように見える独り言の羅列の合間合間に挿入されるエロ漫画のバナー 局部と局部が結合しているのを どアップで見せている これが本当は全部私の誤解だとしても誰も気づかないだろう どいつもこいつもシチュエーションに追い込まれて簡単にセックスしやがる そんなのもきっと私の誤解だろう

疲れていた なぜかハイヒールのサンダルで外に出てしまった今日 誰に見せるでもないのに 私だけが私の足の爪の青いことを知っている 気がする それはいいとして 出たからには戻るわけで 私はハイヒールのサンダルで戻った いつかしまむらで買ったサンダル きわめてオフィシャルな拘束のせいで いつもより10分長く歩かざるを得なくなった脚は サンダルを脱いでようやくその辺に投げ出されて 勝手にピクピクしていた

背筋が せすじじゃなくてはいきんが まともに立ち上がらなくて 声を張る気力もなく 首をまっすぐにする気力もなく たとえば句読点を打つ気力もなく 右耳だけがたまに妙な音を発して遠くなる 肉を齧るにも力が必要 肉を齧る肉がない 体力を使う体力がない そういう気持ちになった

 一番好きなものを聞かれたら正直に答えてはいけないって渋谷のバーのおじさんが教えてくれた それをふと思い出した 右手に持った傘はスリーコインズで買った二軍の傘だった 一軍の傘はどうでもよいところに持っていったらいけない 一番好きなものはどうでもよい人に易々と教えてはいけない 私の一番好きなものが 互いに人としてどうでもよい故に どうでもよく貶され辱められることが何より許せないから

歩いていたら この世はお前のYahoo!知恵袋じゃねえんだぞ と 受信した 私は何でもかんでも なんでなんでどうしてどうして と 訊くこどもだった それは今もそう 歩きながら なんでなんでどうしてどうして ってずっと 別に理由なんてわかってもどうにもならんのに それを敢えて忘れたフリして ずっとずっと訊いていた 何を疑問に思っていたかは忘れた きっとどうでもよいことなのだと思う この世は私のYahoo!知恵袋じゃない そんなことDNAに最初から書いてあるのに 私は塩基配列を読めなかった