暑いからめっちゃ旧エヴァ見たい

暑いから旧エヴァが見たい。どう考えてもまご君の気分。

夜の十一時くらいから暗い部屋でテレビの明かりだけを頼りに、なにがしかの酒を氷とソーダ水で割ったのをテーブルに置いて、そのコップが汗か涙か体液かわからんものをダラダラ垂らしているのに気づきながらもなんとなく放置して、ただただ画面を見つめたい。

めっちゃ旧エヴァ見たい。

夜も深まった頃、人類補完計画が発動して、『Komm, süsser Tod』をバックにいろんなぐちゃぐちゃした、いかにも「超・庵野!」みたいな映像が流れるのを体育座りで見ていたい。音楽に合わせて体を左右に揺らしながら、すっかりぬるくなったなにがしかの酒の入ったコップをようやく手にとって、ちびちびとすする。大胆に開けたはいいものの、人間らしい感情によって残ってしまったポテトチップスのかけらを次々とつまむ。

めっちゃ旧エヴァ見たい。

音楽が止んで、巨大な綾波が真っ二つに割れて横たわっている。シンジとアスカの立てる物音、波の音を聞き逃すまいと、ポテトチップスを食べる手が止まる。びしょ濡れのグラスを持った右手は甲斐甲斐しく酒を口へ運ぶ。ぬるい甘さが口に広がる。ついにシンジがアスカの首を締める。来るぞ来るぞ……。顔が最高潮ににやけてしまう。アスカよ、いつでも来い、待ってるぞ。その一言のために私は今夜、この数時間をこんな風に過ごしてきたんだ。

めっちゃ旧エヴァ見たい。

見終わったDVDをTSUTAYAのプラスチックのケースに戻し、黒い袋に戻し。ああ、終わっちゃったと思いながらコップを台所へ持っていく。食器洗いがどの家事よりもいっとう好きな私は早速コップを洗う。そして別のコップで水をぐいっと二、三杯一気に飲み干す。やはり真っ暗い部屋の、換気扇の下にしゃがんで煙草を一本。ぼーっと天井を見つめて、なんとなくスマホを見て、天井を見つめる。そのあとまたスマホを見て、「もうこんな時間か……」とため息をつく。

めっちゃ旧エヴァ見たい。

カラスに荒らされたゴミ捨て場みたいなポテトチップスの袋を、カスをこぼさないようにそっと丸めてゴミ箱に捨てる。カーテンをほんの少し開けて、ちょっとだけ光っている夜の街を網戸越しに見つめる。湿気混じりに、未明の冷ややかさが流れ込んできて、ちょっとだけ癒される。直後、空の色に朝の気配を感じて、カーテンを厳重に閉める。ベッドに転がって、タオルケットをかぶる。出しっぱなしの掛け布団は足で無理やり隅っこに追いやる。スマホに充電器を差し込んで、ぼーっとインターネットを眺める。タオルケットの内側には早くも湿気と熱気が籠っている。そのうち、なんでこんな時間まで起きてしまったんだろう、と考え始めるけれど、どう考えても旧エヴァが見たかったので致し方ない。もやもやするのは湿気のせい、暑さのせい。疲れ切った頭で、眠気が来るまでずっとそうしている。

というわけで暑いからめっちゃ旧エヴァ見たい。