10mのメトロノーム

7時半、泥のような眠気をあっさりと振り切り起床。パンを食べて身支度整えて家を出る。今朝はお決まりの頭痛がなかった。虫が口に飛び込むこともなかった。

無駄なことで頭を満たしているので、些細なことがすべてどうでもよくなる。忘れ物したけどまあいいや、ちょっとやらかしたけどまあいいや。全部どうでもいいや。

本当は毎日こうならいいんだけどそういうわけにもいかないので、今日は全部すっ飛ばしておく。

昼、意味もなく気分が良くて、普段買わないコーラをなんとなく買ってしまった。買っただけで優勝した気分。コーラで優勝。とにかく優勝って気分だ。

この時点で明日以降の反動がひたすら怖い。

夕方、さすがに疲れが出てくる。コーラは炭酸が抜けて、すっかりぬるくなっている。意識が朦朧としてくる。自動的に喋る機械みたいになってしまう。自分の口から出てくる言葉に全く気持ちが感じられなくて、自分でもおかしいけれど、笑う体力はない。要するに省エネモード。

夜。帰る途中で虫が顔にぶつかり、勝手に死んだ。虫、私の顔で自殺するのをやめろ。

帰宅、夕食。一日の疲れがどっと押し寄せる。実務的には芳しくない日だったけれど、朝の「どうでもよい」が残りの1%をギリギリ保っているおかげで、何も思わない。

その後、オールフリーを飲みながら、録画していた番組をダラダラ見る。見終わった頃には体力の充電が少し回復したらしく、テンションがまた上がってしまう。意味もなく踊り始める。風呂では意味もなく歌い続ける。これまた歌いながらドライヤーをかける。

 

無駄なことをたくさんやるのって、すーーーーっごく気持ちいいし、頭の調子がよくなる。

今日も今日とて無駄なことをやったら、本当に得したような気持ちになった。無駄なのに得。それって一周回って無駄ではないんじゃないの? と思ったりもしたけれど、まあなんでもいい。得した気分、っていうだけ。この二十四時間では、少なくとも私は損しなかったはず。だってそういうシステムに乗っかってるから。

どうせ死ぬんだし、何もかも壊れるんだし、今だけは無駄なことばっかりやってちょっと楽しく生きていきたいわ。

 

なんか今日は一日のテンションの上がり下がりが激しくて、でも全体的に楽しい感じがする。

この状態、脳内にイメージがあるので見たまま書くと、10mぐらいのながーーい金属の棒、その先端には金属の球体がくっついているなんらかの物体がある。その棒が、私の額あたりを起点に、振り子みたいに揺れ続けている。はるか頭上を前後にぐわーんぐわーんとおおらかに揺れる球体。そういうイメージで一日を過ごした気がする。

ああ、これはメトロノームか。リズムだったのか。ずいぶんおおらかに、でも規則的に揺れていて、ぼーっと眺めると心が安らぐ。そんなメトロノーム的なものが今日は頭上にあったんだなあ。ずっとあるといいんだけど、まあ明日には消えているだろう。ああ反動が怖い。