後の祭り

 また楽しみが一つ終わっちゃった。これだけのために最近生きてたと言っても過言ではない。今、本当にまさに今この瞬間からどうやって生きていこう。虚しい虚しい。

 日常に戻るくらいなら帰り道で死んだほうがマシ、なんだけど、わたしは怠惰だから、戻らない努力も死ぬ努力もしない。やる気ない。だって、自分のベッドに帰って寝ないと気が済まないんだもの。帰れるときは帰らないとソワソワして仕方ないんだもの。乗車券なんて、安いからって理由で往復券を買っちゃったから、もともと帰る気満々。

 こういうときは、「私が旅行したり遊びに行ったりしてるわけじゃないんだ。座標が動いてるだけ、私はただの点で、その位置が変わっているだけなんだ」と言い聞かせることに全てを賭ける。或いは、「私がずっとここにいることにしても、また生活がここまで追いかけてきて私にのしかかるだけだ」と、わかったようなことを考える。

 現実逃避ってこういうことだと思う。

 

 そんなこと考えるくらいなら、夜の車窓に映った自分の横顔でも眺めていたほうが気分はマシかもしれない。空の暗さが良いアラ隠しになる。あとはイヤホンでもつけて、2〜3年前によく聴いていた曲でも聴けばいい。ついでに、こんな日は深夜のコンビニの前で缶チューハイでも飲みながらボーッとしたい。ゴミはゴミ箱へ。

 それか、例えば「貸して」って絶対に言いたくなかったから買い集めたCDのこととか、ほとんど反射で話しているから「すごいね」「大変じゃん」みたいな相槌でさえも本当なのか嘘なのか自分でもわからないんだってこととか、向かいに座っているお姉さんの脚の白さのこととか、思いついたことを思いついただけ考えていればいい。許されるなら、寝て起きて、こんなこと考えて、また寝て、ちょっと起きてボーッとして、また寝て起きて考えて、また寝て……みたいな生活をしたい。って、引け目を全く感じないで思いたい。

 

 上に書いたようなこと、やりたきゃ好きなだけやればいいよ。どれもこれも人生のアラ隠しだもん。全ての楽しみは人生のアラ隠し。誤魔化すのも技術のうちだ。

  毎日楽しい人って、そんなにいるのかしら。

 

 ほら、外を見てみろ。まだ間に合う。帰らないならまだ間に合う。例えばあの電車に乗らなきゃいい。そこらへんのビジネスホテルに飛び込んで空き部屋に泊まればいい。無理ならファミレスに一晩いればいい、ネカフェに泊まればいい。今日はわりとお金を持ってきたし、日本語だって日常会話程度ならできるし、できるんだよ。ほら。

 なんてことを考えつつ、ラジオから流れるお洒落な音楽を聴いてボーッとしていたら、あれよあれよと今日も無事帰宅。いやー。足がむくんでる。日焼けが心配。お風呂サイコー、ベッドサイコー。

 家ってめっちゃいい。iPhoneの充電もできるしPCもあるし、水飲み放題、トイレ使い放題、お風呂使い放題、猫様拝み放題、床とベッド転がり放題、冷蔵庫使い放題で、一人の空間も確保されててWi-Fi付きなんて超ハッピーだよねー。

 しかもアメニティがヤバい。タオルとドライヤーがあるし、シャンプーもコンディショナーもトリートメントもボディーソープも化粧水も乳液もパックもヘアブラシもあるんだよ。しかも全部自分の体質に合ってる。死ぬほど便利かよ。チェックアウトの時間もわりと自由だし。これだから家はやめらんないよ。

 

 怠惰ってバカで本当に面白いよね。