快をチヤホヤして持て囃して讃える

 今日は絶対に早く寝る今日は絶対に早く寝る。私にとっての「早く寝る」は、0時前に眠ること。

 個人的には7時間半眠れたら一番いいけれど、最近は5時間半で目覚めることが多い。5時間半で目覚めた場合は二度寝を楽しむ。

 

 最近、二度寝の快楽に気づいてしまった。二度寝するためには予定よりも早起きすることが必須条件になるのだが、勝手に目が覚めてしまうのだから自動的に条件が満たされる。

 あ、まだ眠れる、しかも1時間も……。そういうときに時間の使い方を自分で決められる贅沢さが身にしみる。1時間二度寝する。あるいは、30分間はゴロゴロしながらスマホでゲームして、残りの30分を二度寝に費やす。5分ごとにかけているアラームを最後の1つ以外全部消してチキンレースを楽しむ。こんなこと考える暇もなく二度寝することもある。

 まあとにかく二度寝なんだ。二度寝。眠って、起きて、また少し寝るだけのことを「二度寝」と呼ぶくらいなのだから、二度寝はそれなりに王道の快楽なのだろう。王道には王道になるだけの理由がある。たくさんの人が「良い」と思って何度も何度も繰り返したことが「王道」と呼ばれるのだ。二度寝は王道。

 

 そういえば、ここ数年で自覚したことだが、私は結構眠りが浅いほうらしい。だから変な夢もたくさん見て、たくさん覚えている。夜中に地震があれば、小さな揺れでもすぐ目が覚める。そしてあっさりとまた眠る。

 二十歳を過ぎたくらいから、「目を閉じたら一瞬で朝だった」という経験が特に減った。あまりにも疲れた日の翌朝ぐらいしか「よく寝た!」という気持ちになれない。薬を使ってもあまりサッパリとした目覚めにならない。

 ただ、最近、あまりに疲れた日があって、その翌朝は非常に気持ちよく目がさめた。さっきまで明らかに深く深く眠っていたとわかる、あの感覚は本当に謎だ。青っぽい色の匂いを嗅いだ時みたいなサッパリ感、潔さを感じる。「あ、今日はもう二度寝いらないです」と心の底から思えるような目覚め。

 

 こんなもの、全部錯覚だよね。全部錯覚。錯覚なんだ。錯覚で、毎日毎日、サッパリしたりスッキリしたりシャッキリしたりするんだ。錯覚で、毎日毎日つらかったり苦しかったり楽しかったり嬉しかったりするんだ。

 確かに錯覚なんだけど、錯覚だとしても、己の不快さは減らして、己の快だけを大切に大切にチヤホヤしていきたい。チヤホヤして持て囃して讃える。

 

 そうそう、己の快を大切にしてチヤホヤするために、今夜は早く眠るんだった。明日は思いっきり己の快をチヤホヤするし、持て囃すし、讃えるぞ。世界の延長を、本日のみ、私が許可する。明日がなくなったら悔しい日がまだここにある。悔しさは錯覚かもしれないけど、錯覚でも嫌なものは嫌だ!

 ああ、二度寝は快だけど、明日はチヤホヤできないのだった。だから今日は絶対早く寝たかったのだ。すべては、明日の別の快を確実にチヤホヤするため。おやすみなさい。