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中華XX

 イヤホンがほとんど壊れてしまった。iPhoneについてきた白いイヤホンだった。結構長く保った。

 iPhoneのイヤホンにするまでは、別のイヤホンを何度も買い直して使っていたので、最近のイヤホン事情がよくわからない。

 いい機会だと思って新たなイヤホンを探していたら、「中華イヤホン」という言葉と出会った。

 

 一瞬でテンションが上がった。ヤバい。「中華イヤホン」て。

 この字面が本当に良い。サイバーパンクな雰囲気を感じる。たまらん。最高。猥雑な電子機器。脳がバチバチする。

 インチキくさい露天商によくわからんまま勧められて買った謎の物体、でも何故か使えてしまう。例えば、どこのどんな葉っぱが入ってるのかよくわからない激安煙草、火をつけると普通に吸える。どこかで見たことあるような激安のスマートフォン、使ってみたら中国語のSiriっぽい何かが起動する。そんな感じの。

 「安すぎない? どこのメーカー? 使って大丈夫? そもそもこれどーなってんだ?」と思うけれど、慣れるうちに「考えるな、感じろ」というとても伝統的なマインドが芽生えるに違いない。

 夢が広がる! よっしゃ! 踊りたい! 止まらない! アンパンマン、新しい沼よ!!!

 

 夢が広がりすぎて、名詞の頭に「中華」をつけたら何でもかんでも良くなっちゃうのでは?という好奇心に完全に負けてしまった。羅列しておこう。

 中華Wi-Fi(ありそう)、中華パンク(ありそう)、中華ビール(青島かな?)、中華コーヒー(八角の香りがしてほしい)、中華タブレット(食べる方)、中華テクノ(聞かなきゃ)、中華VR(優勝)、中華テキーラ(凄そう)、中華サングラス(YMOの『中国女』のジャケットみたいになる)、中華Amazon(人海戦術か?)、中華階段(そういうバンドか?)、中華メガネ(たぶん風水的なアレで妖怪的なものが見える)、中華眠剤(4000年眠れる)、中華メディキュット(足が縮まる)、中華プラネタリウム(好き)……

 

※上記のものは全部わたしの妄想であり、完全なるフィクションです。実在する全てのものと全く関係ありません。

 

 己の内の偏見がすごくて、怖くなって注意書きしちゃったよ。ビビりだから。ビビりは身を助くって言うし。一回本当に中国に行ってみたほうがいいかなあ。香港とか上海とか。

 しっかし、こういうの大好きなんだよね。本当にあったら絶対楽しい。妄想するっきゃない。

 

 中華眠剤で4000年眠った私は、寝る前に設定しておいた中華アラームで目を覚ました。大好きなバンド「中華階段」の最後の新譜が部屋中鳴り響く。

 4000年ぶりの爆音を手探りで止めて、枕元にあった中華メガネをかける。ぼーっと部屋を見渡すと、相変わらず部屋の隅に蜘蛛みたいな化け物がいた。

 こいつ、4000年もここにいたのか、律儀だなとぼんやり思いながら、4000年前の中華コーヒーを淹れる。芳醇な八角の香りは保たれたままだ。そういえば、中華コーヒーを売ってくれた露天商のおっちゃんは「賞味期限?一億年だよ」って言っていたっけ。

 身体を温めながらふと足元を見ると、中華メディキュットをしていたおかげで足がかなり小さくなっている。そっと脱いで、ガチガチに固まった足の指を眺める。いい感じに仕上がった、今日は気分がいい。

 玄関のほうから豪快な音がした。中華イノシシが体当たりでもしたかしら。気は進まないけれど、よたよたしながら玄関を見に行く。中華Amazonに4000年前に頼んでおいた荷物が届いていただけだった。そうだ、寝る前に中華タブレットと中華テキーラでふわふわしながらポチっちゃったんだっけ。

 どこかで見たことのあるマークの段ボールを開けると、中華ホログラムで視覚的に過剰包装された中華サングラスが入っている。取り出して、早速中華鏡の前でかけてみる。後頭部が丸々透けて

 

↑ここまで書いて力尽きて寝てた。強制終了。

 

 この主人公、たぶん4000年も寝てなかっただろう。せいぜい4日じゃないかな。この世界だとそういうものだ。

 このあと、幼馴染の中華エマ・ワトソンと中華飼い犬(たぶん元人間)が中華セグウェイで部屋に突っ込んできて、二人と一匹で中華宇宙に行く予定だった。

 なんでもいいけど、早く中華イヤホン届きますように! 今年の夏を猥雑にしてやる。