「なにか、楽しかった?」

 今日はたいへん牧歌的な一日だった。

 可能なかぎりゆっくり起きた。いろいろしていたら、急遽、午後から友人とカラオケに行くことが決まる。互いに昼食は済ませてから行くことになった。

 お昼前、メイク。着替えて、寝癖を直す。食事へ出かける。日曜日のファストフード店は、日曜日なのにとってものどか。日本中の休日の昼のファストフード店が皆これぐらいの混み具合であることを祈る。栄養を摂ってひとやすみ。

 近隣の服屋でサングラス探し。ひとつ試しにかけてみたけれど、なんだか絶妙におかしくなってしまったので、そそくさと戻す。試着室に並ぶ人たちの、行儀がいいんだか悪いんだかよくわからないさま。楽しそうでなにより。

 友人と合流。カラオケ。諸事情あり、本日は叫びのような歌ばかり。昨日、あんなニュースがあったばかりだもの、仕方がない。私が似た状況のとき、この友人もこうして速やかに私をカラオケに連れ出した。私は叫ぶように歌った。

 仕方がないよね、こればっかりは、時間の流れなものだから。夢を見ていたのは私たちだったんだ、とかなんとか言いながら、それでも寂しいものは寂しい、つらいものはつらい。でも、未来があるから、また会えるだろうから……と慰め合う私たちは紛れもなくハロヲタであった。

 友人と別れ、帰り道にコンビニへ。もろもろを購入したあと、雑誌コーナーにVOGUEを見つけて、後ろ髪を引かれる思い。私の後ろ髪を引っ張るものたちとは、大抵再会することになる。きっとこの雑誌もそう。私の執念の前には「一期一会」なんて言葉、通用しない。

 帰宅。夕食。筋トレ。お風呂、で一日の汚れを落としてサッパリ。お気に入りのほくろが腫れて痒いことを気にしながら、秘蔵のアイスを食べてだらだら。猫のためにドアを開け閉めしてだらだら。暗い部屋でベッドに足だけ潜り込ませてだらだら。

 そして、四月は三十日までであることを思い出し、芋づる的に今日で四月が終わることを知り、焦り、開き直るなどした。事務作業をほんの少し済ませた。

 ね、牧歌的でしょう。なんてのほほんとした一日なのでしょう。

 

 ああ、本当に四月をやりきってしまったのだ。やりきれるとは思っていなかった。よく生きてるもんだ。

 「なにか、楽しかった?」という問いが生まれた。

 はっきり言えば楽しくはないけれど、そこまで厳しくつらいものでもなかった。そして、楽しいことは自分で用意するものだ、ということがはっきりとわかった。ああ嫌だね、摩り切れちゃって嫌だねえ。今すぐ冷えた星々のかがやきや、水面のきらめき、生肉の模様などを思うさま眺めて無心になる時間がほしい。それができないなら、今すぐ蝋人形になりたい。もうこれ以上人間としてやっていったら私が全部終わってしまう。

 

 実際は四月以外の何も終わらない。生活には労いもなにもなくて、ただ次の時間が流れてくるだけで、私はまたホゴホゴ言いながら、上がったり下がったりする。

 人類という長い長い直線を、拡大して拡大して拡大しまくったときに見える点、私はそのひとつなんだろうね。

 人類、勝手に私で線を描くのをやめなさい。本当に勝手なんだから。本当に勝手なんだから。本当に勝手なんだから。