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無害な見た目

 またインフォメーションセンターをやってしまった(訳:知らないおばあさんに電車の行き先を聞かれて案内してしまった)。

 ここまでくると自分の見た目が随分「無害」らしいことを自覚せざるを得ない。だって結構尖った服装してたのに、イヤホンまでしてたのに、これだもの。装備じゃ隠しきれない無害さが滲み出ちゃってるんだ。仕方ない。

 今まで私をインフォメーションセンターにした人達を全員並べて、一人一人に「なんでわざわざ私に訊いたんですか?」とインタビューしたい衝動に駆られる。たぶん「なんとなく」としか返ってこないんだろうけど、その「なんとなく」の理由が知りたい。

 まあいいや、一生本当のことはわからないんだから考えなくてよし。

 

 そんなことより、せっかく己の持っているものを自覚したので、積極的に利用していきたい(逆に「他人に利用される」ことが中心になりそうな特性だけど)。見た目が無害そうな感じだと何ができるだろうか。

 例えば、なんかの勧誘とか? 残念ながら、他人を何かの集団に引き込むことに興味がなくて気が進まないのだけど、できることとやりたいことは違うからどうしようもない。

 そこまで極端にならなくても、無害そうでいることを求められることなら、何もしなくても最初の関門を突破しているようなものだし、有利なのかな。

 有利だとしても、見た目が無害なわりに人に好かれないので、本当に全部噛み合ってなくて可笑しい。付き合いが長くなると内面や行動の問題が浮き彫りになるのだろう。 無害そうだけど死ぬほど頑固、感情の起伏が激しい、他人に興味なし、気が利かない。味噌汁にピクルスが入ってるみたい。こういうのを目の敵にする人って結構たくさんいるけど、そりゃそうだよなという感じになる。わかりやすいハズレくじだから。

 やっぱり見た目を内面に寄せたほうがいいのか。髪型をツーブロックにしてみるとか、口ピアスを開けるとか、変なシルエットの服ばかり着るとか、常に白目剥いてるとか。いや、違うな。もっとこう、嫌悪感をそそらないとだめだ。虫の死骸を背中につけたり、陰毛を袖につけたり、ガムを派手にくちゃくちゃいわせながら噛んだり……。

 

 混乱してきた。話の筋を戻さなきゃ。内面にボロがある人なりの、無害さの使い方を考えるんだ。

 ……思いつかない!!!!

 よくわからないけど、そんなもんがあるならきっと、今まで無意識に使ってきたんだろう。そういうことにしよう。放っておく。

 無害そうで得したこと、きっと今までたくさんあるはずだ。自覚がないだけで絶対ある。私の情報を一切持たない人と対峙した時に、なんらかのアドバンテージとして働いたこと、絶対ある。それだけで充分だ。あとはその人たち相手に、無駄に内面を主張しないことだけだね。この世は我慢大会なのか。

 ああ、どうしても私の生活は私の身体に引っ張られるんだな。見た目通りの無害な生活を送ることができているだろうか。