読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ある電子動物について、そして気分のチョロさについて

「気分の波も人生の山や谷も、頼んでも無いのに勝手にくるよね、ハム太郎

「ヘケッ」

「人生ってもしかしたら、悪質な押し売りから逃げ続ける作業なのかもね、ハム太郎

「ヘケッ」

「死ぬまで苦しみは終わらないのかもね、ハム太郎

「ヘケッ」

「どんな楽しさも生きる苦しみを上回らないよね、ハム太郎

「ヘケッ」

「明日はもーっとつらい日になるよね、ハム太郎

「ヘケッ!」

 ハム太郎は世界初の電子動物だった。おもちゃメーカーに勤める男性が、精神を病み、引きこもってしまった孫娘のために作ったものだった。

 精神を病んだ孫娘は、なんとなく全てがわかっている。ハム太郎が「ヘケッ!」と発するために費やされた人類の英知、時間、手間、ストレス、金、そして命のことについて。

 ハム太郎が「ヘケッ!」と発するとき、アフリカで地雷が子供の脚を吹き飛ばす。

 ハム太郎が「ヘケッ!」と発するとき、イラクで戦争が起こる。

 ハム太郎が「ヘケッ!」と発するとき、北朝鮮のまさおが死ぬ。

 ハム太郎が「ヘケッ!」と発するとき、とにかく人間の集まるありとあらゆる場所で、人間の最悪な所業が行われている。

 そういう仕組みの上に電子動物「ハム太郎」は成り立っているのであった。

 ハム太郎の飼い主である病んだ孫娘は、それらの可能性をすべて想定しようとする。そしてその予測は常に最悪の形で裏切られる。彼女が思うより人間は最悪なのだった。それがわかると、彼女はいっそう張り切ってハム太郎に話しかける。

彼女は、彼の「ヘケッ!」を引き出すことがやめられない。人間が最悪であればあるほど、ハム太郎の「ヘケッ!」を聞きたくなってしまう。

世界なんて、人間の最悪さでもって、もっともっとめちゃくちゃに最悪になればいい。
それが彼女の唯一の希望だったのだ。

 

オフラインでいろいろなことがあり、

「もうだめだ、生きてても仕方ない、これ以上苦しみたくない。今までの人生無駄だった。生まれた瞬間から今の今まで、すべての時間と行動が無駄だった。何もかもが無駄だった。もう人生、潮時だ。近いうちに死ななければならない。生きていてはいけない。死ななければならない。死のう。どこでどうやって死のう」

などと考えてヴォイ泣きしていました。久々に強烈な死にたみの波でした。

メンヘラの友人にLINEを送り、しばらく相手をしてもらって、頓服を飲み、しばらく横になり、思い出したように泣いては眠り、また泣いては虚空を見つめ……を繰り返していたら、なんということでしょう。

スーッと落ち着きました。

「いや、別に死ぬことじゃないだろ。とりあえずできそうなことからやればいいじゃん」

という境地にたどり着きました。

えっ! 私の頭、チョロすぎ……?

何が効いたのか全然わからないのですが、友人と話すことで一番大きな波をやり過ごせたと思います。ここに書いても仕方ないけど、相手してくれてありがとう(本人には伝えてあります)。現実は何も変わらないけど、死にたさはやり過ごせるものだと改めて思いました。

それと、頓服も効いたのだと思います。お薬を使って気分の調整を行うことが、あまりにも簡単で、改めて驚きました。

それと同時に、誰にも何も言わず、薬さえも飲んでいなければ、今頃は薄暗い部屋で一人、今にも死にそうな顔で遺書でも書いていたんだろうと思います。

なんじゃこりゃ。気分の上下がハードモードすぎやしませんかね。

何はともあれ、次の通院日に医者に報告しておこうと思いました。

おやすみなさい。