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きたない

今よりもずっと何かを思いつめていた頃のこと。私は決意した。

「徹底的に汚い人間になる。キレイな人たちが顔をしかめそうな人間になる。そして、最高に汚くなったら、自分をキレイだと思っている人の胸ぐらを掴んで『見ろ、てめえも私も同じ人間なんだよ』と言ってやるんだ」

当時の私は何をトチ狂ったか、それを嬉々として恩師に話した。恩師は異様なほど食いついてきて(私が一瞬本気で引いてしまうほどに)、それはどういうことなのか私に説明させた。

どういうことも何も、そのまんまですよ。私みたいな糞みてえな奴も、キレイにしてる奴も、全部剥いでしまえばどうせ同じ人間なんだって思い知らせるんです。どんなに身ぎれいにしていても、私みたいな汚い人間と同じものでできてる生き物なんだって思い知らせたいんです。……そんな風に言ったような、言わなかったような。

もっと砕いて言えば「泥棒も神父も処女も乳児も皆くっせえ糞して寝るんだよ、ほら嗅いでみろクッセェだろ、乳児の糞も処女の糞も神父の糞も泥棒の糞もみんなクッセェだろ」というニュアンスだ。

いや、思い知らせてどうすんだそんなこと。
今となってはそこまで強い気持ちはない(たぶん)。

とはいえ、その頃からずっと私の信条は「汚いことに綺麗でありたい」だ。潔癖なまでに汚い、そういうことばかりをずっとずっと追い求めている。

社会は「どんな汚いことをしても綺麗でありたい」という、私とは真逆の心を持った生物だったので、とうとう適応できなかったけれど、それでいいや。無理なもんは無理、できないもんはできない、嫌なもんは嫌。我慢はしないよ。馬鹿馬鹿しいから。このまんまじゃロクに働けもせず野垂れ死ぬだろうけど別にいい。仕方ないから。

 

……というようなことを、今、昔聞いていた曲を聴きながら考えていた。

 

今日は昨日に引き続き頭の調子が悪かったので、ずっと心の吐き気が止まらなかった。

とりあえず頓服を飲む。どうにもならない。
イヤホンを耳に突っ込んで何か再生してみても、最近聞いている曲がどうにも受けつけない。

その時、無性に昔よく聞いていた曲を聴きたくなったので、聞いた。
とても安心した。

そうだ、有り余るエネルギーのやり場に困っては自分を殴っていた頃を、この人たちの曲で乗り切っていたんだっけ。
それなら今の私には十分すぎるほど効くに違いないのだ。

よかったよかった。

 

何にも良くねえよ。何にも良くねえよ。何にも良くねえよ。何にも良くねえよ。
良くなくたって一日は終わんだよ。誰の許可も必要なく終わるんだよ。
何にも良くなくたって人間の一日は平等に終わる、最高だな(あれ、やっぱり何にも変わっていないのでは)。

おやすみなさい。