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窒息

平らな鉄の板みたいな気持ちで過ごした。トンカチで叩く気にもならない。 情動みたいなものは全部消えてしまった。眠気だけが残った。深い昼寝をした。 猫の声で目が覚めた。猫は時間に厳しい。餌の時間よりも15分早く私を追い詰める。

私たちはみんな自分が大好きなんだ、と思う瞬間がある。私はこの世界で私だけが許せないのだと思う瞬間もある。 今日は後者の気持ちが出てこない。前者の気持ちも薄い。 なぜだか人を救おうと思っていた。急に救いたくなった。その方法も考えた。でもあまりにも気持ち悪すぎる方法だし、私自身もメサコンではないのでやめた。本当に傲慢で気まぐれで平らな鉄の板であった。

通院日だった。雪が降っていたけれど歩いて行った。雪が降っている時は案外あたたかい。

一面雪景色だった。外が白い。白すぎて目が焼けそうだった。 それにしてもなんていい風景だろう、一面真っ白で何にもない。凹凸さえうまく判別できない。汚い草も道路も全てがコーティングされて、生き物の気配が消えた。久々に近所の自然が良いものに思えた。 温度の低い曲を聴きながら歩いた。心が静かになった。ふと、どこかの駐車場に積もった雪を見て、飛び込もうか一瞬悩んだ。しかし、そこに十分なスペースが確保されていなかったので諦めた。良い場所があれば次こそは決行する。家の前でもどこでもいいからやらなければ。

暑さは苦手だが、寒さは苦にならない。むしろ冷えていると安心する。どんどん冷やしていきたい。それでも、湯たんぽだけは絶対に手放したくない……。

昔書いていたものを眺めていたら、あらあら、まあまあ、という気持ちになったので恥ずかしながらサルベージ。以下の通りです。何を妄想していたのでしょうね。これで2万円はお手頃価格。今夜はここでおやすみなさい。

大きな水槽がある。部屋は青く照らされる。魚が泳いでいる。観賞用の魚が泳いでいる。別の水槽に女が泳いでいる。果てしなく健全な水着を着ている。いやらしくない水着を着ている。女は酸素ボンベを背負っている。水槽に近づくと女も水槽のガラスに顔を寄せる。女はニコニコと笑っている。電器屋でケータイを販売している女のように笑っている。それをしばらく眺めていると、私は女の異変に気付いた。女の息がだんだん小さくなっている。それでも女はニコニコ笑っている。私は、笑っているならこのまま見ていようと思ったので、女の笑顔を見ていることにした。女はそのうち、口からボンベを外した。それでもニコニコと笑っている。と、女の表情が一瞬険しくなるがさっきと同じ笑顔に戻ろうとする。しかし、失敗する。女の顔はどんどん険しくなり、目は笑っているけれど笑っていなくて、しきりに水槽の上の方を見上げては首を振っている。誰かに合図をしているのだろうか。3分後、最後の意地で笑顔を作る。しかしその目で苦痛をはっきりと訴える。そのまま真っ直ぐに水槽から出て行く。私は、近くにいたスーツの男に2万円を渡して部屋を出る。