激安の殿堂

ドン・キホーテが好きだ。あの、激安の殿堂のことだ。 真昼間に行くのも楽しいが、やはり深夜が一番楽しい。「春はあけぼの」なら「ドンキは深夜」である。深夜のテンションでワイワイするもよし、怪しい客層を楽しむもよし。とにかくドンキが好きなのだ。

何が好きなのか、自分でもイマイチ掴みきれていない。今日は言語化を試みる。

1.ごちゃごちゃしてる感じ

ごちゃごちゃしてるから好きだ。あそこには何でも置いてある。 生活雑貨、ケータイの充電器、たこ焼き機、派手なドレス、下着、靴、台所用品、ご飯、酒、お菓子、香水、アクセサリー、化粧品、煙草、18禁コーナー、自転車、パーティーグッズ……なんでもある。 田舎に生まれ育った私が初めて一人でドンキに入った時、視界が物で埋まった。聴覚はあの歌と店員の声に全部奪われてしまって、私はただ広い店内を興味に任せて歩き回るだけの生き物になった。どこを見ても面白いものが置いてある。見たことのないものが置いてある。全部胡散臭い。全部どうでもいい。でも面白い。最高だ。気を抜くと頭の中に「あの歌」が入ってくる。気をしっかり持たないと外に出られない激安の殿堂。 それから何度ドンキに入っても似たような感動がよみがえる。

2.湿度

「店舗による」と言われたらそれまでだが、ドンキには独特の湿度があると思う。 国外に出たことがこれまでに一度もないのだが、きっと上海ってああいう湿度を大陸の味付けで重くした感じの空気が流れているんだと思う。……偏見? 店の構造の問題か、気のせいなのか、妙な湿度を感じる。たまに呼吸をしたくなくなる。でも慣れてしまう。そのうち心地よくなってくる。エヴァLCLってこんな感じかもしれない。

3.完全に自分がどうでもよくなる

1の副産物。 ものが溢れすぎているし、客も多いので、自分のことを完全に忘れられる。私が店内で犯罪行為以外の何をしても許されそうな雰囲気がある。実際は棚の前をじっくりウロウロして、何か気に入ったものがあれば買って帰るぐらいなので、無害な客でい続けるのだが……。 ドンキは現代の魔窟だと思う。あんなに懐の深い場所を他に知らない。あんなに私に無関心でいてくれる場所を他に知らない。……いや、あるかもしれないけど。

理由は他にももっとある気がするけれど、こんなもんだろう。 今一番悲しいのは、田舎に暮らしているので最寄りのドンキまで行くのに交通費が2000円以上かかること。つらい。ドンキが恋しい。徒歩圏内にドンキが欲しい。ちくしょー!すべての国民に平等にドンキを与えろ!

いや、やっぱりドンキは都会だけにあって欲しい。だって、夜の都会に根を張る激安の殿堂が好きだから。

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