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滋味と幸福

この間、「甘いものを食べたら幸せになれるのでは」と思ってアイスを食べた。でもあんまり効かなかった。 私は甘党だと思っていたのだが、甘ければ幸せになれるわけでもないらしい。困った。何故甘いもので幸せになれないんだろう。

今までに、何かを食べて幸せになったことは何回もあった。そういう経験を思い出せるだけ思い出してみた。すると、それらの経験に共通していたのは「事前に食べ物に対する期待を持っていた」ことだった。期待といっても並大抵の期待ではなかった。渇望していた。 この間は甘いものに対する渇望が足りなかったのだ。今後甘いもので幸せになりたかったら、甘いものを渇望すればいいのだ。渇望してみよう。

そうは言っても、渇望なんて簡単にできるものではない。甘いものを心底欲しがろうとしても、頭のどこかで「別に食べなくてもいいよなあ」と思っていたら絶対にできない。困った。

ここまできたら「甘いもの」にこだわる必要はないのではないか。今心底食べたいものを考えれば幸せに近づくのではないか。

そうしたらやっぱり白子が食べたいなあ。白子が食べたい。白子がいい。どう考えても白子が食べたい。白子。お腹いっぱい食べる必要はない。ちょっとだけでいい。一口二口でいい。白子が食べたい。白子がいい。あ〜白子が食べたい。そろそろ旬だろうから、白子が食べたい。

あっでも白子じゃなくてもいい。なんかこう……珍しい部位の肉がいい。これ、いっつも言ってる気がする。できれば食感が不思議な部位がいい。それで、噛んだ瞬間から、舌の奥からジワァ〜っと何かが湧き上がるような感覚を得たい。「これを食って生きてる!」と舌で感じたい。 ……ああ、これ、「滋味」だ。滋味。辞書的な意味では、「栄養豊富でおいしい食べ物」。こんな都合のいい食べ物にはなかなかお目にかかれない。でもやっぱり滋味、滋味がいい……。

滋味へのあこがれを深夜の1時半に持ってしまった。滋味。ああ滋味。考えているだけで幸せになってしまった。そうか、食べなくてもいいのか。ラッキー。 滋味を想って今夜は寝よう。滋味……。