ハッピーバースデイ

“一年で一番恐ろしい日"なんて書いておいて、大したことはなかった。情緒不安定のピークは10日の22時30分あたりだった。その後は冷静に眠剤を飲んで、ここ数ヶ月で一番スムーズに入眠した。 「もし朝起きて、居ても立っても居られないような心境だったら、一人で遠出しよう」と考えていたけれど、特に嫌な気持ちもなかった。完全に拍子抜けである。何がそんなに怖かったのだろう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉が頭を過る。

今日は、友人知人家族含め、たくさんの方にお祝いの言葉をいただいた。一文字一文字、有難く頂戴した。 「私の誕生日の何がめでたいの?」と考えるのは数年前にやめた。きっと何かがめでたいから「おめでとう」と声をかけてくださるのだ。他人の言葉を疑う必要はない。私が疑問を差し挟む余地もない。 それに、こんなに「おめでとう」と言われる日はそうそうない。今後はどんどん減っていくだろう。来年の今頃、生きている保証もない。どこで何をしているかもわからない。そもそも1分後のこともわからない。だから、楽しいことだけはリアルタイムに噛み締めておきたい。

一年に一度の節目だから、どうしても過去と未来のことを考えてしまう。どうせ昨日と今日じゃ何にも違わないのに。 敢えて今後のことを考えるなら、やっぱり貫禄が欲しい。貫禄をつけて、存在の強度を高めたい。「怖がって誰も手をつけないから、結果的に熟してしまって、ますます誰も手をつけようとしなくなった酒」みたいになりたい。どんな味がするのか誰も知らない。実はたいしたことないのに。要するに見掛け倒しだ。でも「見掛け倒し」ができる見掛けじゃないから、憧れる。 ちょっと待って。これって結構年季が入らないといけないじゃないの。少なくとも50年くらい生きないと足りない。そこまで生きている自信がない。ああ、生存バイアス。……ダメだ、何十年後じゃなくて今満足しなきゃ意味ない。いま欲しがりなさい。 いま出来る範囲で、貫禄つけて強そうになる方法を考える。「いつも同じテンションでいること」ぐらいしか思いつかない。神か仏の所業だ。これ、私には一番難しいことなのだけど……。いやーたぶん無理だろうな、無理だろこれは。現時点でやる気ないもの。路線を間違えてる。 わかった、変更する。「ずっと正直でいること」。これを貫くやつは大抵迷惑なやつだ。でも結構好きだ。正直が一番面白い。見てて笑えるから。うん、そうしよう。正直にやっていこう。

なんだこの感じ。普通にほんわかしてる。こんなこと書いておいて、明日には嫌になっているかもしれない。まあそれはそれで、見てて笑えるからいいや。